ガシガレ

社内SEのヒトリゴトです。

【PC入替】ユーザーの意見は大事だと思った話

この記事は 『corp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス)#2 Advent Calendar 2019』 12月16日の記事です

adventar.org

初めてアドベントカレンダーというものに手を挙げてみたものの、何を書いたらいいかわからん、ということで色々と悩んだのですが、今年取り組んで、社内からも好評をいただいたPC一括入替のときの話をしてみようと思います。

情シスにとって、PC入れ替えは誰もが通る道ではないでしょうか。こういう事例もあるんだなぁ~くらいの軽いノリでご覧いただけたらと思います。

 

前提:PC入替前の会社の状況

さてPC入替の話をするには、まず前提の話をしなければなりません。簡単に状況を整理しておきたいと思います。 

  • ユーザー数50名
  • 非IT企業であり、ITに詳しいユーザーばかりではない
  • 資料を作成したり、データを分析したりする業務が多い
  • 移動や出張、会議が多い
  • デスクトップPC(Windows7)+モニター2台
  • システム担当1人

今年2019年1月に私が入社した時点で、PC入替は2019年度の必達課題になっていました。老朽化への対応と、2020年1月に迫ったWindows7のサポート終了に伴うWindows10への移行のためです。前任者からのハートフルな置き土産でした。

PC運用にあたって考えなければならないこと

早速話が逸れますが、会社の規模や業態、社員のITリテラシーによって、PCの利用形態は様々ですよね。それに応じて、PCの運用についてもやり方が全く異なってきます。PCの運用では以下のような点が重要になってくると思います。

  • ユーザー数
  • ユーザーライフサイクル
  • ユーザー増加率
  • 組織構造、業務内容
  • 就業形態(リモート可否など)

そこに、以下の要素が加わってきます。

  • 予算
  • 期限と納期
  • 情シスの体制

お金が無限にあり情シスのバックアップ体制も十分であればできることの幅も広がるのですが、残念ながらそういう訳にもいかないんですよね。人生はきびしい。
会社の状況を踏まえ、外注に頼りつつ一括で入れ替える方針としました。
他にも非常に苦労したポイントが色々あるのですが、長くなりそうなので割愛します。
(AzureAD、メールサーバー、クラウドストレージへの移行導入を同時期に並行して実施してとても大変でした(語彙力))

ざっくりした手順

こちらも色々なやり方があると思いますが、今回は以下のような手順で進めました。

  • 要件定義
  • PC選定
  • 発注
  • テスト
  • キッティング
  • データ移行
  • PC入替(10月までに完了させる)

VDI環境などであればデータ移行は不要になりますね。今回の特徴としては、2019年10月までに完了させること(年末に大きなプロジェクトがある)、Windows7終了に伴いPC需要が高まり、納期が2ヶ月以上かかるという点がありました。早く何とかしなくては。

会社によって本当に様々ですし、各論だと長くなりすぎますので、今回は要件定義、PC選定で工夫したことをさらっとご紹介してみたいと思います。 

要件定義、PC選定

比較的組織が小規模ということもあり、前々からやってみたかった「ユーザーの意見をできるだけ反映させる」ということを意識してみました。

一人情シス体制、さらにITリテラシーが高いとは言えない弊社では、「自分で好きなPCを選んでいいよ!」という運用は難しい。運用上、機種も統一させたい。であれば可能な限りユーザーの声を反映させたいと考えました。

  • 各部署から代表者を選出してもらい、要件や要望をヒアリングする
  • デモ機、デモ環境を用意

ユーザーの声を反映させたいと言いつつも、全ての声を反映させるのは不可能です。各部署から代表者を出してもらい、部署内の意見や要望を吸い上げてもらうことにしました。
ヒアリングを行い、できる限り要望に沿ったデモ機を何台か手配する。実際に外で使ってもらう。オフィス内にもデモ環境を用意して、ユーザーに実際に触ってもらいました。これを繰り返すことで、我々がどんなPCを求めているのか、徐々に輪郭がはっきりしてきました。
 

結局どうなった

ちょこっとご紹介したいと思います。結局以下のようなPC環境を導入しました。

  • 2 in 1コンバーチブルタイプ のノートPC
    (タッチパネルディスプレイ)
  • 重量 1kg
  • CPU Core i5
  • メモリ 16GB
  • SSD
  • LTE通信可
  • ThunderBolt3規格のドッキングステーション
  • 外付けモニター:4K 32インチ(21インチ2台構成も選択可能に) 
ノートPC

従来はデスクトップPCに加え、ノートPC貸し出しという運用でしたが、やはり移動が多いのであれば自分のPCを持ち出せた方がよい。というわけで、ノートPCへの運用に切り替えました。VDIも考えてみましたが、新幹線や飛行機を利用するユーザーが多いこと、ADも入れ替えなければいけないこと、納期が差し迫っていたことから今回は見送りました。5G時代に期待しましょう。

モニター

従来はデスクトップPCにモニタ2台構成でした。ユーザーは大きな画面で仕事することに慣れていますので、いきなりノートPC一台だけというのは無理がありますね。モニターは4K32インチモニターと、一回り小さいモニター2台構成から選択できるようにしました。PCと違ってモニターは多少機種が増えても管理できると考えました。

ドッキングステーション

そうなると、今度は持ち運びの利便性を高めるためにケーブル類を集約させたいと考え、ドッキングステーションに対応しているモデルを探しました。コンバーチブルタイプのノートPCは薄く軽量に設計されていることの弊害で、搭載されているインターフェースが少ないです。(USB-C、USB-Aが1つずつしかない等)
こういった問題もあり、ドッキングステーションは必須でした。(コンバーチブルは要件ではなかったのですが、機種を検討していくうちにコンバーチブルが候補に残ったという感じです。)

LTE通信対応

外で使うなら絶対にLTE通信対応が便利だと思いました。SIMは別途法人契約します。100GBのパケットシェアできるものにしました。内勤メインのユーザーもいますが、うまくバランスすることができます。今回、ユーザーからもっとも好評だったのもここです。
ただ、常時LTE通信で作業をしているとあっという間にバッテリーを消費します。(Chromeを開きっぱなしにしているとさらに激しい気がします。)導入検討される方はご注意ください。 

おまけ

最初はドヤ顔で『Surface Pro』を候補に挙げて使ってみてもらいました。性能については申し分ないものの、外出の多いユーザーからは以下の点で不満が上がりました。

  • キックスタンドのため、新幹線のテーブルに載せられない
  • キックスタンドは不安定、片手でPCを持って移動しづらい
  • タイプカバーがパカパカする

本当にユーザーの意見を聴いておいてよかったと思いました。私の思い込みで導入していたら、きっともやもやした不満が残っていたと思います。
ただSurfaceを試したことによって、「外で自分のPCでLTE通信できることの便利さ」をユーザーに実体験として理解してもらえたのは大きかったかなと思います。

 また、お気づきの方もいらっしゃることと思いますが結構私の趣味が入っています。例えば4Kモニターは私が使ってみたかったから提案してみたというのは否定できません。これは情シスの特権でしょうか。結果的にはユーザーも満足してくれたので結果オーライということでここはひとつ。

おまけ2 予算大丈夫だったの?

前任者の作成したと思われる予算が割とガバガバだったこともあり、PCのスペックは予算策定段階からかなり上がったものの、結果的には予算内に収まりました。キッティング作業を効率化することで費用を圧縮し、その分をPCに回したという感じです。また、一部緊急性の低い投資を次年度に回すなどの調整を行いました。
※こういう社内のどろどろした部分はTwitterなどではあまり議論できませんよね。飲みながらこういう話をしたいですね

ユーザーの利便性が上がるということを上層部にもアピールし、社内の方の協力を経てなんとか稟議を通すことができました。Twitterの皆さんからいただいたアドバイスも多大に反映されています。 

まとめ 

「ユーザーの意見を反映させる。」これは重要なことではありますが、かなり大変です。情シス担当の負担は間違いなく増えます。今回はさらっとご紹介しましたが、確認や調整ごとがめちゃくちゃ増えます。思っていたより数倍大変で、「やっぱやめとけばよかったかな…」とも思いました。しかし、PCは毎日触るもの。ユーザーの利便性や生産性も毎日のちょっとしたロスが積み重なれば大きな損失になるはずです。個人的な意見ですが、PCは費用対効果の高い投資の一つだと考えています。

導入後数ヶ月経ちましたが、未だに以下のようにコメントをくれるユーザーもいます。

「ノートPC本当に最高」
「外で仕事しやすくなった」
「会議の生産性は間違いなくあがった。印刷しなくてよくなったしその場で資料を修正できるし」

苦労したけどこういう声を直接聞くことができるのは、情シスの醍醐味なんじゃないかなと思います。本当にありがたいです。

「ユーザーの意見をきちんと吸い上げる」
導入時は大変ですが、長期的に見ればユーザーも情シス担当もハッピーになれるのではないかなと思います。今回のことを教訓に情シス業務に取り組んでいきたいと思います。まだまだ課題は山盛りですが、私なりにがんばっていこうと思います。

ではでは今日はこんなところで。最後まで読んでいただきありがとうございました。