ガシガレ

社内SEのヒトリゴトです。

2番目の職場の話④Let's go HOME

あれ?地震

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 地震大国日本。ちょっとやそっとの地震で驚いていたら生きていけません。しかし、その日は今まで体験したどの地震よりも大きなものでした。

 

(あ、地震か。)

(あれ、ちょっと大きい…?)

(え?え?)

(ちょ、ま    )

 

そのとき私がいたお客様のオフィスは都心の高層ビルの5階でした。なんとも表現しづらい揺れ方。下から突き上げてくるようでもあり、ぐにゃあとした横揺れも感じる。縦揺れと横揺れを同時に感じやすい階層だったのかもしれません。冷静でいろという方が無理でした。この間、5〜6分程度の揺れが持続していたそうです。

 

「上司さん!すごい揺れてますよ!!!」

 

「…(無視)」

 

 

マジかよこいつ。この状況でまだPCに向かって仕事してる…。無視ってどうなのよ。コミュニケーションて聞いたことあるんでしょうか。それとも聞こえなかったのかな?身体めっちゃ揺れてるけど頭はPCをじっと見つめて揺れてなくて、なんかそういうおもちゃ見たことあるぞ

オフィス内も騒然としています。悲鳴も聞こえてきました。上司は私にまったく関心がないようです。知ってましたけどね。私はもう彼を無視してペラペラの会議机の下に身を隠しました。正直ビルが崩れるんじゃないかとさえ思いました。この時はただただ恐怖で、他のことを考える余裕などありませんでした。

 

しばらくして、揺れが収まったようです。私は恐る恐る机から身体を出し、周囲を確認しました。

 

上司はまだ仕事していました。

 

 

マジかよこいつ…。マジもんのサイコパスだったのか。同じ人間ということを認めたくない。ただのやせ我慢であって欲しいレベル。これ基準で仕事してたら世の中完全におかしくなる。
 お客様のオフィス内も慌ただしくなっています。ビルのアナウンスで「このビルは安全です。外に出ると危険です。安全が確認できるまで外に出ないでください」という旨のアナウンスが流れていたように記憶しています。

 

「あの上司さん、我々は…(帰らないんですか?)」

今外に出てもどうせ電車動いてないし、仕事して

「 」

 

 

マジk
身体全身の穴から血を吹き出して欲しい気持ちでいっぱいになりました。あと関節も全部外れて欲しいという気持ちになりました。しかし一方、お客様のオフィスでも人が帰っている様子がありませんでした。社蓄魂なのか、安全確認なのかは私にはわかりませんでした。とにかく我々は結局18時頃まで仕事をしていたと思います。

 我々が外に出ると、周囲はまだほんのり明るかったのですが、いつもの都心とは全く異なる様相を呈していました。おびただしい数の人で溢れかえっています。これはビルや地下鉄にいた人たちが全て地上に出てきたということなのでしょう、東京って人が多いと思ってたけど、こんなに多かったのかと思いました。小さな頃、アリの巣に水流し込んだりして遊んでいました。そんなときの記憶がぼんやりと浮かんできました。

 当然電車は動いていません。たまたま自宅と会社方面が一緒だということもあり、私は上司と先輩と一緒に歩いて自社オフィスまで戻りました。昼は暖かかったのですが夜はめっきり冷え込んでいました。我々は人混みを縫いながらオフィスに戻りました。東京の土地勘が全く無かったので、この時ばかりは頼りになりました。機能停止した都心がこれほどまでに心細いものだとは。

 

30〜40分ほど歩いてようやく自社オフィスに到着。少し書類や本棚が散乱したようですが大きな被害もなかったようで、一安心というところです。しかしオフィスに着いたはいいが、電車がありません。

どうせ帰れないし…ということでオフィスで酒盛りが始まりました。コンビニで食料が無くなる前に残っていた社員が買っていたようです。たくましすぎるだろ。なんでそれをもっと仕事に(略

 

東京ってこういうもんなのか。色んな意味ですごいなぁと思いながら缶ビールを飲みました。はぁ、これからどうなっちゃうんだろう。

 

(1615文字、56分)